みなさん、こんにちは。
豆蔵ソフト工学研究所の所長の羽生田栄一(はにゅうだ えいいち)です。
この度、豆蔵社内にいわゆるヴァーチャル組織として「豆蔵ソフト工学ラボ(通称:豆蔵coラボ、コ・ラボ)」を立ち上げました。

今年2008年は後年、歴史的に画期をなした年として長く記憶されることでしょう。サブプライム問題に端を発し世界に恐慌の不安をもたらした経済危機の年であり、ブッシュ共和党からオバマ民主党へとアメリカ大統領に史上初の黒人大統領をもたらし国際政治にも大きな方向転換を迫る年ともなりました。こうした大きなうねりの中で、ITやソフトウェアはまだまだ本来のパワーを発揮できていない、ITは経営にも人間的な生活にも社会の変革にももっと有効活用できるはずだという思いがあります。

実は今年2008年は、ソフトウェア工学生誕40周年* の年なのです。
http://www.theregister.co.uk/2008/10/07/software_engineering_birthday/
http://www.ipsj.or.jp/05system/digital_library/special_features.html

そしてLisp生誕50年** の年でもあります。
Lisp50@OOPSLA
Lisp's 50th Birthday Celebration

  • * Software Engineeringという言葉は1950年代後半から60年代前半に使われ始めたとされるが、この言葉が公の場で使われ一般的になる最初のきっかけは、1968年に開かれたNATO Software Engineering Conferenceだといわれています。
  • ** Lispという言語は、Fortranと同じ時期に発表された世界初の高級言語の1つです。LISt Processing languageという名前からもわかるように記号処理のために設計され、人工知能AIの研究や自然言語処理、新しいプログラミング言語の研究に広く利用されて、ソフトウェア工学の発展にも寄与してきました。

一見関係ないように思われた技術や方法論が実は大きな革命の引き金を引いていたということはよくあります。今後重要になってくるソフトな工学にとって、Lispに始まるAIや記号処理や対話型環境やメタプログラミングや関数型言語やS式やマクロに始まるDSLや・・・は非常に大きなインパクトを知らないうちにじわじわと与え続けていますし、コンピューティングパワーとネットワークインフラがようやく潤沢に揃いつつある今こそ爆発的な開花を見せるのではないと考えます。 そのような記念すべき年に当研究所をスタートさせるということで非常に身の引き締まる思いです(わざと大げさに言ってみました)。

皆さんご存知のように、豆蔵は「オブジェクト指向・モデリング・プロセス」を中核としたソフトウエア工学や経営工学・組織工学等のエンジニアリング技術を通して、ITやソフトウェアに関わるお客様(製造業メーカーを含むユーザー企業様や開発ベンダー様や個人エンジニア)のご支援をするコンサルティング会社です。今までは、教育コースや個別のコンサルティング案件を通してのみ、お客様とのインターフェースを取ってまいりました。しかし、お客様の業種や特性も広がり、時代のニーズとしてもほとんどすべての分野でごく自然にITやソフトウェアが使われるような状況になってきた現在、より開かれた自由なインターフェースの必要性に思い至りました。

そこで、とにかく豆蔵という組織がもっている技術や方法論そして個々のメンバーの熱い情熱を広く知っていただく場を作ろう、そして社会においてさまざまなニーズや熱い思いをお持ちの皆様と直接出会える場所として活用していただこう、そのような気持ちからWeb上のサイトとして、まずはスタートさせていただきます。

なぜ【ソフト工学】研究所なのかという点ですが、今後ますますIT・ソフトウェアは経済・社会・文化のなかに浸透し、単に『ソフトウェア工学』として扱うだけでは済まなくなります。どうしても経済的・社会的・文化的な取り扱い方を方法論として確立していく必要があります。そのような新たな状況の中でIT・ソフトウェアに対する柔軟で総合的かつソフトに取り組む姿勢をもった方法論というニュアンスを込めて『ソフト工学』という新造語を提唱することにしました。

そこには、当然、ビジネスそのものや経営学や組織工学、人間工学、社会学等々の学際的な領域の総合的な融合が求められます。豆蔵ソフト工学研究所では、それらを今後体系化し実践していくべく取り組んでいく所存です。

次になぜ略称がソフ・ラボでもソコ・ラボでもなく【豆蔵coラボ】かについてですが、この略称に込めた意味は3つあります。

1つ目は、豆蔵という私企業一社できることは高が知れているから、ネット上の皆さんのお知恵を借りながらうまく【コラボレーション】を行って「新しいアイデアを形にしていく」ことはできないものか、ぜひ社会とつながりを持ちながら、この仮想研究所を発展させていきたいという思いです。

2つ目は、IT・ソフトウェアの方法論というものは、理論と実践のコラボレーション、技術軸と組織軸のコラボレーション、ビジネス活動とコミュニティ活動のコラボレーションによって初めて意味を持つということを強調したいと思ったことです。

そして3つ目に、現在の当研究所は豆蔵社員の研究員を中心とした研究成果の発表が基本ですが、近い将来、大幅に客員研究員を増やし、彼らと豆蔵社員とのコラボレーションの成果を『コ・ラボ』サイトで発表していきたいと考えているということです。ぜひご期待下さい。

今回はこのサイトとしての創刊号に相当するわけですが、当社研究員による硬軟取り混ぜたさまざまな記事を用意しました。オピニオン、エンジニアマインド、モデリング手法、SOA、プロジェクトマネジメント、教育方法論、ソフトシステム方法論、組込みエンジニアリング、・・・。

この中から1つでも皆さんの心に響くもの、皆さんの現場で役に立つものを見つけていただけたらならば幸いです。今後、毎月皆様には記事と言う形でコラボからのメッセージを送り届けさせていただきますが、一般記事以外にも、対談や誌上パネル、インタビュー、書籍レビューなど新しい試みを追加していく予定です。

皆様からのご支援を賜りながら、一緒に『豆蔵コ・ラボ』という「場」をじっくりと育てて行ければ考えております。少しでも有用なかつエキサイティングな場とするべく努力する所存ですので、ご声援のほどをよろしくお願いいたします。