みなさん,こんにちは。
豆蔵ソフト工学研究所の所長の羽生田栄一(はにゅうだ えいいち)です。
ここしばらく発行が滞っておりましたが、豆蔵ソフト工学ラボ(愛称:豆蔵コラボ)における情報発信を再開させていただきます。

昨年3月の東日本大震災および原発事故が起きて1年が過ぎ、誰の目にも日本社会の基盤変動が明らかになってきました。とくに政治や社会と自分たちの仕事それに科学技術とが密接に関っているのに、いままではそこに目をつぶって無視して事を済ませてきたという忸怩たる思い、反省が日常生活のスタイルも変えつつありますし、我々の活動分野であるITの世界にも押し寄せてきていると感じます。

クラウドコンピューティングは自分たちの組織のIT投資やシステムの利活用のあり方を根本から見直す機会を与えてくれています。iPadやAndroidそして最近のSurfaceなどのタブレットやモバイル機器は、社会環境と仮想環境と物理環境を融合して、お年寄りから子ども達まで、一般家庭や職場から学校、街なかまで広がる日常の場での振る舞いの作法をじわじわと変えつつあります。

ソフトウェアは単独では存在していません。情報システムとして業務や生活に埋め込まれ、さらに多くのソフトウェアと組み合わさるだけでなく、さまざまな物理デバイスや物理環境をとおして複雑なインタラクションを別のシステムやステークホルダーと繰り広げます。ですから、単純に1つのシステムの仕様を決めるということは、ほぼ不可能になっています。いろいろな状況でいろんなヒトやモノが関わるシナリオがこんなケース・あんなケースとさまざまに利害関係やトレードオフを伴って発生するのです。

このような状況を整理して目的を明確にし、ステークホルダー間の要求と利害を構造化し、自分たちの関わるシステム群の総体的な構成を把握し、適切な「システム群のシステム(System of systems)」としてモデル化し、アーキテクチャとして論理的に物理的にも物理的にも分析・統合する「システムズ・エンジニアリング」という仕事が大事になります。社会的・組織的・人間的・情報的・メカ的・エレキ的・ソフトウェア的なさまざまな要素の有機的な構造を定義していく、ITアーキテクトより一段大きな複合システムのアーキテクトという位置づけで、『システムズ・エンジニア』と呼ばれます。

今回の記事は、このようなシステムズ・エンジニアリングを行う際に利用することが想定されているUML拡張のビジュアルモデリング言語SysMLの紹介と、ソフトウェア以外のメカやエレキを含めた物理デバイスと併せてシステムをアジャイル開発する重要性をプロトタイプエンジニアと位置づけで紹介いたします。