前回は第2条「モデリングは走りながら実践の中で身につけるべし」について書いた。今回は第3条「プロジェクト内で常にサービス精神を発揮するべし」を説明する。

第3条:プロジェクト内で常にサービス精神を発揮するべし

クリエイティブな仕事をチームで行うには、プロジェクトチームのモチベーションを盛り上がらせることが重要なのである。

しかしながら、プロジェクト内で常にサービス精神を発揮することで、プロジェクトチームのモチベーションを高めようと思っているエンジニアは少ないのではないか?

自己をクリエイティブにする

僕はクリエイティブな仕事を行うために、脳の状態を良い状況にしておくことが大切だということを最近になって実感している。

僕は仕事柄、クリエイティブな成果を目の前で求められることが多く、それをどうやって創出するかというのが課題となっている。

じっと机に座って素晴らしいアイデアを考えてみる。しかし、いくら机に座って真面目に考えても、クリエイティブな発想はでてこない。

そこで、クリエイティブな成果を出そうと思った時は、とことん自分を解放してみようと思い始めた。たとえば、クリエイティブな成果を求められるような考えごとはオフィスの机の上ではやらないようにする。常識的なものから自分を解放するのである。

最近、仕事の中のPDCA(Plan,Do,Check,Act)のサイクル中に、僕はDoを2つに分けることを意識的に行なっている。

ひとつは、創作のDoであり、もうひとつは作業のDoである。

創作のDoの場合、場所に拘るのである。海を見ながらであったり、カフェで過したり、自分の好きなところで色鉛筆などをもって考えるのだ。

そんなサラリーマンの私はできない!なんて、言わないでほしい、誰にだって自由な時間はある、その自由な時間をクリエイティブな創造のDoに少しだけ使えるようPlanするのである。

この創作活動としてのDOは、まずはアイデアを具現化しなければならない。そして、その後の作業の目的を描き、作業の全体像を"見える化"し、作業の成果のイメージを予測する時間でもある。このアイデアと作業のイメージを繰り返し連想することで、もっとも価値のある作業やその作業を行うための攻略点などを探るのだ。

そうすることで、無駄な作業を省くのである。もしくは、価値のないアイデアに着手しないようにするのである。

このような方法は、要求開発でも活用している。

「結果イメージの予測」、「制御可能で、制御価値のあるものだけに手をつける」といった僕がよく発する言葉は、このような体験を分かりやすいキャッチにしているのである。

自分の好きな場所を選んで、そこで自分スタイルで脳を一番よい状態にしておくこと。このことを意識することで、恐ろしくとてもよい成果がでることが、自分を実験台にして理解できたのである。

このやり方は、今後社員にも普及させようと思っている。

図1:PDDCA
図1:PDDCA

人の活動をクリエイティブにする

次は、自分ではなく、チームや仲間の活動にクリエイティブさを与える方法についてお話ししよう。

これもまた最近であるが、クリエイティブな成果を人から創出する際に、一つの行動バターンを自分のいつもやっているやり方の中から発見したのである。

その行動パターンとは、 次の通りである。

  1. 場所に拘る事。
    複数人のクリエイティブな活動や発想が必要とされる場合は、会議室は向かない。公園やカフェでリラックスしてやるほうがよい結果がでる。
  2. 即本題に入らない。相手を思いっきりリラックスさせる。
  3. 本題に入る前に問題領域のビジョンから話を始める。そして、相手をその世界に巻きこみ、相手のビジョンを聞き、共感するようにする。
  4. 本題では、内容だけではなく、なぜと結果と方向性を重視する。
  5. 議論を終えたら、結論に至るまでの議論過程のプロセスを反復し、お互いに称えあう。
図2:クリエイティブな成果を出す演出
図2:クリエイティブな成果を出す演出

プロジェクト内で常にサービス精神を発揮するとは

さて、プロジェクト内で常にサービス精神を発揮するということをもう少し考えてみよう。これは、単にプロジェクト内でサービス精神を発揮すればよいというわけではない。チームを盛り上げるための演出をそれぞれのロール(役職・役割)を持つものが意識的に実施することである。

そのヒントが、図2のようなサイクルを上司、またはチーム内で演出することである。これがチーム・部下に対するサービス精神であり、それによって、チームの生産性や成果が飛躍的に挙げることができるだろう。

図2はあくまで参考でしかない。重要なのは、相手の気持ちを考えて、相手の能力を最大限に高めるように演出してあげることをお互い気遣うことである。

ところがである。

そんな意識を少しでも持っている上司が周りにいるだろうか?

機嫌悪そうに、しかめっ面でいつもパソコンをパチパチ叩いているだけ、顔さえあわせようとしない。

また、チームメンバーの人たちも同じ顔をしている。

朝、会っても、挨拶さえできない。

そんな事で、チームでクリエイティブな仕事ができるのだろうか?

いまわれわれの仕事のやり方は、人を機械化しているのではないだろうか?

機械としてみるか、生きた動物としてみるか。

前者だと、ここに書いた全てが疎かにされることになる。そして、そのような環境の中では、品質重視といいつつ規則・締め付けだけに走り、人の能力を高めるための環境作りに疎くなる。

これからは、プロジェクト内で常にサービス精神を発揮するにはどうすべきか考えるエンジニアになるべきだ。そしてそのようなエンジニアが、人・技術・心をマネジメントするマネージャーになるべきなのである。

ここまで書いた内容に思い当たる部分を感じたら、いまからでも遅くない。

みんなで、変えていこう。

その前に、自分も変えようと思うとよい。

プロジェクト内で常にサービス精神を発揮するというのは、まず、プロジェクトは、生き物が行う生の活動であることを実感し、その活動体全体が活性化されるように、チームメンバー一人一人が自分を演出することなのである。

さて、次回は「第4条:要求開発まで踏み込むべし」である。なぜエンジニアが要求開発なのか。きっと楽しい内容になるだろう。
どうぞ、おたのしみ!