こんにちは、豆蔵でSOAを主担当としている岩崎です。

今回から「SOA実践の最前線」と題して、外部サイトや雑誌記事で筆者が連載している内容とは異なった、「現場の生の声」をお届けしたいと思います。

お仕事の都合上なかなか書きにくい内容も多々あり、霧霞んだ箇所も多々あるかと思いますが、そこも含めて「生の声」という事でひとつお目こぼしを頂きたいと考えております。

さて、今回のお題は『「SOA」は本当か?』という事です。

去年まで、お客様の先でSOAの話が出たときには、こんな風に言われていました。

「でもあれって、流行語でしょ? いわゆるbuzzwordってやつ。もうそろそろ別の単語が出るかな?」

なるほど、ごもっとも。でも最近はこんな風です。

「そろそろうちもSOAを本気で取り組まなきゃいけないな、という風に社内でまとまりつつあるんだ」おお、何という変貌。確かに、SOA型のシステム統合にはたくさんの利点があります。今回はそういう難しい話はさておいて、果たしてSOAはインチキじゃないのか? ホントに使えるの? という話をひとつ。

製品ベンダー主導で始まったSOA

その昔、SOAという単語が出始めたのは2003年から2004年頃だったかと思います。当時は「Webサービス」という単語が喧伝されていた頃だったので、私の偽らざる感想は「またインチキ臭い単語が出たな!」でした。

しかも、それを言い出したのが某大手ソフトウェアベンダーさん達。要するにそのサーバー製品が売りたいんでしょ? その為の詭弁でしょ? という穿った見方で斜に構えて見ている私でした。

しかもしかも、その製品の中身は、従来「EAI」(Enterprise Application Integration) と言っていた製品をお色直ししただけの代物だったりして、なお一層怪しさ満点。Webサービスにすら対応してなさそうな製品もチラホラと。もう私の疑念は疑惑に固まりつつありました。

あれ、SOAってホントは必要とされてたりしないか?

ところがひょんな事から私自身がSOAの製品を売るベンダー側の立場になってしまい、SOAが求められている現場に直接踏み込む事になってから、その疑念は段々晴れてきました。

その見た現場というのが、たくさんのシステムが点在し、爆発する管理コストに苦しむ姿です。各システムは確かに必要とされてるからたくさんあるのだけど、全体として俯瞰すると、何故か無駄が多い。これを統合して減らそう、というのは、確かにそりゃそうだろう、と改めて思わされました。

でも、そのシステムも、Javaだったり.NETだったりVBだったりホストだったりバラバラ。どうやって繋ぐのか、高額なEAIという種類のサーバーを入れたりという点でいつも揉めている箇所でした。

あれ?言語等から独立したXMLで繋ぐSOAってこういうニーズに合致してないかな?

パラダイムの転換

実はこのSOA、後になって理解したのですが、技術者の為の技術じゃなくて、情報システム部門を初めとした、ユーザー企業側の為の技術と捉えると、途端にスッキリ理解できます。

これまでコンピューター関連の技術は、どちらかというと作り手側、つまりプログラマー側の話が主流でした。どうやって作るのか、どうやったら重複無く作れるか、どうやったら楽になるのか、等々。

でも、このSOAはそんな話ではありません。どう繋げばいいのか。どう業務ニーズと合致できるか。どうサーバー数を減らせるか。そんな話です。

つまり、「SOA」を宣言した時点で、プログラマー主流の時代が終わったのです。時代は企業システムとその統治に関心の中核が移りつつありました。SOA対応製品も、ターゲットを作り手から管理側にあからさまに主軸となる売り込み先を移しています。

これはEA (Enterprise Architecture)という概念が流行し始めた事も原因のひとつと考えられます。要するに、業務命題に則った企業システムとして、無駄なく合理的に統治されるべき、という考えです。スーパープログラマーが腕一本で行き当たりばったりに作っていく時代は遂に終わったのです。

でも、SOA対応サーバー製品は単なる部材のひとつでしかない

しかし、そこでSOA製品の売り手側に立った私自身が疑問に思った事は「でも、このSOA製品って、部材のひとつでしかないよなぁ」という事でした。

結局、既存システムを合理的に統合する為には、こういうサーバーを買ってきて置いて終わり、じゃなくて、実際に繋ぐ仕事がその先にある訳です。しかも、その繋いだ結果は、EA等に則った、業務命題に沿ったものでなくてはならない。

それは元々言い出しっぺである製品側の話だけにとどまらない訳です。

業務に則ったSOA型統合設計が今後主流に

こうして、ベンダー側に居る事に限界を感じた筆者は現職に移りSOAの設計支援を生業とするに至る訳ですが・・・

そんな個人的な話はさておいて、今後の需要としては、業務に則ったSOA型統合設計、そんな形のプロジェクトが多発する事が予想されます。冒頭の話のように、企業側はSOAを現実と捉えて取り組みを始めています。今やSOAは現実となった、という事が、本稿の結論です。

但し、それはSOA対応製品を入れる事が主流になった、という話ではなく、SOA型設計が主流になるだろう、という話です。入れ物ではなく中身で勝負、という事でしょうか。

残念ながらこうしたインテグレーション分野のスペシャリストや知見というのは、これまで中心として語られなかった分野という事もあり、なかなか「レア」なものだったりする現実も一方であります。その不安な現実に対して、私をはじめ弊社も方法論を整備しつつ布陣と実績を地道に積み重ねています。そうした「レア」な存在として、我々も在り続けられれば良いな、と思う次第です。

(次回に続く)