正しいとは思うのですが...

さて、前回ご紹介した「日本人の食事摂取基準」によって必要な栄養素はわかりました。つまりTO-BE像が描けたということです。あとは現状を把握して理想像に近づけるだけ! 毎日の食事を記録して栄養価を計算すれば、どれだけギャップがあるのか一目瞭然。過剰に摂取している栄養素は減らし、不足しているものを増やせば良いのです――

毎日の食事を記録してその栄養価を計算するというのは、とても手間のかかる作業です。私は学生のときに演習の課題として食事記録を実施して以来、一度もやったことがないですし、今後もよほどのことが無い限り日常生活に取り入れないと思います。よほどのことというのは、例えば食事制限が必要な病気になってしまった場合などです。最近はデジタルカメラが普及しているので写真を撮るだけなら大きな負担にはならないと思いますが、撮った写真に対して「ご飯:茶碗一杯、たまご:一個、ほうれん草:100g」のように書けと言われたら抵抗するでしょう。

このような「正しくはこうあるべきである」という話はソフトウェアの世界でも聞いたことがあるはずです。宣教師がありがたい話をして信者を獲得するも、実践が難しいために信者たちは迷える子羊のまま...という光景は容易に想像できるのではないでしょうか。(そのため宣教師は更なる仕事にありつけるわけですが。)

はじめの一歩

栄養学の研究が進み、「ちゃんと食べたほうが良い」ということが分かっても、それを知っているだけでは何の意味もありません。自らが「食べる」または「食べない」、それが問題なのです。迷える子羊から羊飼いになるためには、実践あるのみです。

では、手間がかかったり難しい作業を簡単に実施できるようにするためにはどうしたらよいでしょうか?これはもう、想像がついていると思います。そう、ツールの導入です。食品成分データベースやダイエット用SNSなどのソフトウェアだけでなく、構成を考えるためのフレームワークなどもツールに相当するでしょう。今回は後者の、「考えるためのツール」をご紹介します。と言っても、みなさまご存じだと思うのですが。

一汁三菜

図:一汁三菜

献立の構成として有名なのが「一汁三菜」です。お米などの主食以外に、おかず3品(主菜一品、副菜二品)と汁物、という構成を表しています。香の物(漬物)を一品と数える派と、数えない派があるようです。

さて、このフレームワークにあてはめて「ご飯、とんかつ、ネギチャーシュー、豚肉の冷しゃぶサラダ、豚汁」という献立にした場合、なんとなく肉が多すぎてバランスが良くないと思いませんか?しかし、だからと言って「正解が出ないじゃないか、だから一汁三菜という考え方は間違っている!」と主張する人に私はまだ出会ったことがありません。なぜでしょうか?食という領域が身近で、ほとんどの人が良く知っているため、そういう主張をしても「少しは自分の頭で考えればいいのに」と思われるのが分かりきっているからかも知れません。

一方、ビジネスの領域は複雑で、その分野に携わっている人にしか理解し辛いことがたくさんあります。けれども、ビジネスのために利用するソフトウェアを開発するのであれば、技術だけでなくビジネスを理解する必要がありますよね。最近、主に外資系企業で使われてきた、様々なビジネスに関するフレームワークの情報が発信されています。何も知らずにあてはめるだけで必ず正解が得られるものではないですが、未知の領域に踏み出す第一歩として、どんどん活用できるようになりたいものです。

食事バランスガイド

一汁三菜などの献立の構成要素として「何をどれくらい」あてはめればよいのか?を視覚的にわかりやすくするための資料が、厚生労働省と農林水産省から発表されています。独楽をモチーフとした独特のイラストが興味深いです。また、「肉、魚、卵、大豆」ではなく、「主菜(肉、魚、卵、大豆料理)」のように分類されているので、料理中の食品を1つづつ数えるより楽に考えられそうです。このように見てみると、食事のバランスを取るのはそれほど難しいことじゃないと思いませんか?(料理例が細かくて見づらいので、詳しくは添付のPDFファイルをご覧ください。)

参考文献

食品成分データベース

食品バランスガイド

食事バランスガイド独楽進呈

次回は

食事バランスガイドの関連コンテンツとして、子供向けの「コマシティ」があります。ここに、食生活改善に最も必要な能力についての記述を見つけました。エンジニアリングの原点とも言えるその能力とは!?子供向けコンテンツから学んだことを中心にお送りする予定です。